武蔵野に初めてお茶がもたらされたのは鎌倉時代で、高僧・明恵上人が栽培したのが始まりと言われています。江戸時代には本格的な茶業として狭山茶ブランドが確立し、当時、江戸で飲まれていたお茶のほとんどがこの狭山茶だったといわれています。
現在では日本の銘茶五場のひとつとして知られ、埼玉県武蔵野の大地で生育される狭山茶は埼玉県における農産物生産面積では県下一で、日本3大銘茶の一つとして
「色の静岡、香りの宇治、味の狭山」
と称され、高く評価されるようになりました。適度に冷涼な丘陵地帯というお茶の生育に適した自然条件のもと、お茶を愛する人々の手によって慈しみ育てられてきた豊かな味わいが特長です。
時代とともに、「蒸す」「もむ」などの基本の工程では、コンピューターの導入により品質を格段に向上させることに成功し安定した生産体制も可能になりました。 しかし、同時に機械にのみに頼らず「狭山火入れ」に原点をおいて、常に人の目と手によるお茶作りを心がけでいます。伝統を守り、伝統を伝え、更なる高みを目指す。 狭山茶はお茶本来の、うまみ、香り、色をしっかりと表現しています。この三拍子揃ったこだわりのお茶を是非ご評価ください。
最後に狭山茶伝統の手法について少し触れておきます。「色は静岡 香りは宇治よ 味は狭山でとどめさす」と歌われるように、狭山茶の味のよさには古くから定評があります。これは、古来から伝わる『狭山火入れ』と呼ばれる火入れの伝統手法にその秘密があります。 卜口火で延々と長時間火を入れる独特の製茶法で、狭山茶が持つ武蔵野の風土の味わいを最大限に引き出します。他産地のお茶では味わえないコクと爽やかな香りはこうして作られています。狭山茶農園は、この伝統を現代まで伝え、当時の豊かな風味を今なお究極のこだわりとして守り続けています。